[2022/10/14] 第5回分子薬理学教室セミナーを開催します。

このたび、下記要領で分子薬理学セミナーを開催いたします。 興味ある先生方・学生諸君の多数ご参加をお待ちしております。
詳細は、 下記セミナーのリーフレットをご覧ください。またご不明な点がございましたら、下記問合せ先までご連絡ください。

第5回分子薬理学セミナー
テーマ:心不全の原因となるタンパク質間相互作用に着目したリポジ創薬研究

講師:九州大学大学院薬学研究院 生理学分野 教授
自然科学研究機構生理学研究所(生命創成探究センター)クロスアポイントメント教授
西田 基宏(にしだ もとひろ) 先生
司会:信州大学医学部分子薬理学教室 教授 山田 充彦 先生

日時:令和4年10月14日(金)17:00 – 18:00
場所:信州大学旭総合研究棟 9階講義室C
参加方法:参加をご希望の方は、あらかじめ molpharm@shinshu-u.ac.jp
でご連絡の上、事前登録をお願いいたします。
また不織布のマスク着用でのご参加をお願いいたします。

要旨:我々は国が安全性を保証する既承認薬の中から新たな薬理作用を見出し、有効な治療薬の存在しない疾患に適応拡大させるドラッグ・リポジショニング(リポジ)創薬研究を推進している。マウスやラットの様々な心不全モデルを用いた解析により、心筋組織・細胞のリモデリングを仲介する病態特異的なタンパク質間相互作用をこれまで明らかにしてきた。例えば、心筋梗塞後の心筋早期老化の原因となるミトコンドリア過剰分裂のメカニズムとして、ミトコンドリア分裂促進 Gタンパク質 Drp1 とアクチン結合タンパク質 filamin との複合体形成を見出し、これを選択的に阻害しうる既承認薬として、高血圧治療薬シルニジピン(Ca2+拮抗薬)を同定した。Ca2+拮抗薬は心不全治療に好ましくないと考えられているが、シルニジピンは心不全を発症したマウスに後投与しても心機能を改善させた。一方、抗がん剤投与誘発性の心不全マウスでは心筋細胞の萎縮が観察され、この過程に細胞膜タンパク質 TRPC3 チャネルとNADPH 酸化酵素(Nox)2 の複合体形成が関与することも明らかにした。TRPC3-Nox2 複合体形成を阻害する既承認薬として、抗喘息治療薬イブジラスト(PDE 阻害薬)を同定した。イブジラストはドキソルビシン投与マウスの体重量・心筋・骨格筋の減少を有意に抑制した。現在、これら既承認薬の主作用を減弱させた誘導体も合成しており、ヒトへの適応を目指した研究を進めている。本講演では、我々のリポジ創薬研究の例を紹介しつつ、そこから新たに展開した学問的知見(リバース・トランスレーショナル研究成果)についても触れたい。

問合せ先: 医学部分子薬理学教室(連絡先:molpharm@shinshu-u.ac.jp

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